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試料作製方法
主な研究内容
 エピタキシャル界面へのひずみ導入による直接遷移型半導体β-FeSi2の実現
【背景・目的】
β-FeSi2は間接遷移型半導体であり,応用へ向けて発光強度の弱さが課題となっています.第一原理計算によると,β-FeSi2は適切な格子ひずみを加えることによって直接遷移型半導体へと変化することが示唆されており,エピタキシャル成長による界面ひずみを導入することによって高い発光効率を示すβ-FeSi2の実現を目指しています.

【これまでの成果】
Si(111)およびSi(001)基板上において高品質なエピタキシャル膜の作製技術を確立した.
・フォトリフレクタンス(
PR)法を用いて,格子変形に付随した直接遷移エネルギーの減少を確認した.
・ラマン分光測定と
PR測定から,局所的ひずみと直接遷移エネルギーの相関を見出した.

【課題と今後】
直接遷移化へ向けて更なるひずみの導入が必要であり,より大きなひずみを導入する手法を探索しています.現在は,
Siよりも格子定数の大きいSiGeを基板に用いることによってエピタキシャル界面での格子不整合率を大きくし,ひずみによる格子変形の増大を試みています.
 β-FeSi2多結晶薄膜におけるpn接合形成技術の構築
【背景・目的】
高い光吸収係数を持つ
β-FeSi2の太陽電池材料への応用へ向けて,pn接合形成技術の確立は必要不可欠です.しかし,これまで報告されている
β-FeSi2多結晶薄膜は残留不純物の混入が多く,伝導型が明瞭になっていませんでした.そこで,真性領域の高純度な薄膜を作製することから始め,不純物ドーピングによりp型,n型の各伝導型を示す
β-FeSi2の作製を目指します.それにより残留不純物の影響がないpn接合形成を目的としています.

【これまでの成果】
・残留キャリア濃度が
1016 cm-3オーダーの高純度なβ-FeSi2多結晶薄膜成膜技術を確立した.
・成膜中に混入してしまう
α-Fe2Si5金属相を,熱処理温度・時間を変化させることによって抑制した.

【課題と今後】
低残留キャリア濃度の薄膜は
n型を示しており,pn接合形成にはpβ-FeSi2の作製が必要です.また,p型,n型の各伝導型におけるキャリア濃度の能動的制御技術が望まれます.そのため現在は,各伝導型のβ-FeSi2に対するドーパントの選定とドープ方法の探索を行っています.
 新規電子材料の光物性評価
      BaSi2    Mg2Si  本研究室はフォトリフレクタンス法やラマン分光法など,光学評価技術にも強みがあります.
他研究室・研究機関より
β-FeSi2をはじめ,
BaSi2, Mg2Siなどシリサイド半導体を中心に試料提供を受け,光物性評価を行っています.
RFマグネトロンスパッタリング法   装置外観
 (
Radio flequency magnetron spputering

チャンバー内にArガスを導入し,RF電源によってプラズマ化させます.プラズマ化したAr+イオンが負極となるターゲットに衝突することによって,ターゲットの原子がエネルギーを受けて飛び出します(スパッタ現象).マグネトロンスパッタリングでは,ターゲットの裏に磁石を設置することでプラズマ密度を高めて成膜レートを上げています.一般的に,原料を選ばず大面積な薄膜作製が可能であることから,産業用途に適した成膜方法として広く用いられています.本研究室では,Siターゲット上にFeチップを着磁させるユニークな方法で,残留不純物を1×1016 cm-3まで抑えた高純度なβ-FeSi2多結晶薄膜の作製に成功しています.これは現時点で
β-FeSi2
多結晶薄膜における世界最高純度の試料であり,応用へ向けた物性研究を進めています.
分子線エピタキシー法(Molecular beam epitaxy) 装置外観
Knudsen cell (Kセル)中の原料を加熱することによって分子線を発生させ,基板上に蒸着させる試料作製方法です.融点の高いSi原料は,熱電子を衝突させることによって分子線を発生させます.チャンバー内の不純物を超高真空(~10-10 Torr)まで排除した清浄環境下で成膜を行うことから,残留不純物の少ない高純度な膜を作製することが可能です.また,電子線回折を利用したRHEED像の観察により成膜中のその場観察が可能です.本研究室では,適切な条件下でSi基板上にFeSiを同時蒸着させることにより,β-FeSi2エピタキシャル膜を作製する技術を確立しています.
地殻に豊富に存在する元素のみで構成されるβ-FeSi2は,
 ・ 現行の光通信波長帯
1.5 μm付近で発光
 ・
Si基板上にエピタキシャル成長可能
 ・ 高い光吸収係数
: 105 cm-1 (at 1.0 eV)
 ・ 半導体中で最も大きな屈折率
(n = 5.8)
などの優れた光学性質を持つことから,
Siベース発光源・受光源などに応用できる可能性を有しています.
私たちの研究室では

試料作製から評価まで一貫した研究体制
をとっており,
分子線エピタキシー法および
RFマグネトロンスパッタリング法による
試料作製と電気的・光学的な評価を行っています.
九州工業大学大学院
情報工学研究院 物理情報工学研究系
電子材料研究室
研究概要
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